弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2012年改訂版)
Guidelines for Surgical and Interventional Treatment of Valvular Haert Disease( JCS 2012)
左室内径(2D法)
左室拡張末期径,cm 4.1~5.2
左室収縮末期径,cm 2.5~3.4
左室拡張末期径/体表面積,cm/m2 2.5~3.2
左室収縮末期径/体表面積,cm/m2 1.5~2.0
左室容量(Simpson変法)
左室拡張期容量,mL  57~113
左室収縮期容量,mL 18~53
左室拡張期容量/体表面積,mL/m2 38~64
左室収縮期容量/体表面積,mL/m2
男性女性
左室内径(2D法)
左室拡張末期径,cm 4.8土0.4 4.4土0.3
左室収縮末期径,cm 3.0土0.4 2.8土0.3
左室拡張末期径/体表面積,cm/m2 2.7土0.2 3.0土0.2
左室収縮末期径/体表面積,cm/m2 1.7土0.2 1.8土0.2
左室容量(Simpson変法)
左室拡張期容量,mL 93土20 74土17
左室収縮期容量,mL 33土20 25土7 
左室拡張期容量/体表面積,mL/m2 53土11 49土11
左室収縮期容量/体表面積,mL/m2
慢性の重症 AR
再評価
症状なし 症状出現
異常
いいえ はい はい いいえ,または
初回の検査
#3
臨床評価6か月毎
心エコー4~6か月毎
正常
臨床評価6~12か月毎
心エコー12か月毎
臨床評価6か月毎
心エコー12か月毎
3か月後
再評価
3か月後
再評価
臨床評価+心エコー
症状はあるか?
左室径は #4
AVR
境界域のEF
または判定困難
EF低下
(EF<50%)
LVDs>55 mm
または
LVDd>75 mm
心エコーでの左室機能は?
核医学検査など #2
正常EF
(EF≧50%)
ない
運動負荷 #1
不明瞭 ある
LVDs<45mm または
LVDd<60 mm
LVDs45~50mm または
LVDd60~70 mm
LVDs50~55mm または
LVDd70~75mm
初回の検査? 安定しているか? 運動に対する血行動態的
反応を考慮
クラスⅠ
1 心電図検査
2 胸部X線写真
3 心エコー・ドプラ法
クラスⅡa
1 心臓カテーテル検査(含 冠動脈造影)
2 大動脈造影
クラスⅡb
1 経食道心エコー法
2 心プールシンチグラフィー,心電図同期SPECT
3 運動負荷試験
4 CT
5 MRI
1 左室収縮機能正常の無症状AR患者
 ・症状の発現and/or 左室機能障害の出現 <6.0%/pt-yr
 ・無症状だが左室機能障害が出現 <3.5%/pt-yr
 ・突然死 <0.2%/pt-yr
2 左室収縮機能低下のある無症状AR患者
 ・心症状の発現 >25%/pt-yr
3 症状のあるAR 患者
 ・死亡率
●大動脈弁自体の病変
・先天性二尖弁・四尖弁
・リウマチ性
・感染性心内膜炎
・加齢変性による石灰化
・粘液腫様変化
・心室中隔欠損症
・バルサルバ洞瘤破裂
・外傷性
・開窓部(fenestration)の破綻
・高安病(大動脈炎症候群)
・強直性脊椎炎
・全身性エリテマトーデス
・慢性関節リウマチ
●大動脈基部の異常
・加齢による大動脈拡大
・ 結合織異常(Marfan症候群,Ehlers-Danlos 症候群,Loeys-
Dietz 症候群)
・大動脈解離,限局解離
・巨細胞性動脈炎
・梅毒性大動脈炎
・ベーチェット病
・潰瘍性大腸炎関連の関節炎
・Reiter 症候群
・強直性脊椎炎
・乾癬性関節炎
・再発性多発軟骨炎
・骨形成不全症
・高血圧症
・ある種の食欲抑制薬
2 大動脈弁閉鎖不全症(AR)
表23 大動脈弁閉鎖不全症の原因
表24 大動脈弁閉鎖不全症の自然歴1)
表25  大動脈弁閉鎖不全症の治療方針を判断する上での診断的手法の実施
図6 慢性重症ARの管理計画(重症AR:3~4度の逆流)1)
基本的には症状と心エコー検査で経過を追う.
♯1:臨床症状に乏しい場合には運動負荷時に症状の確認を行うという選択もある.
♯2: 臨床所見と心エコー検査所見に隔たりがある時や,境界域のEFの場合には核医学検査や超高速CT,MRI,
左室造影や血管造影を含む心臓カテーテル検査が有用である.
♯3:左室の中等度拡大の場合には運動負荷時の反応を見るのも有用である.
♯4: 左室径については欧米での報告をもとに記述した.しかし,体格の小さな患者では,慎重な臨床的判断に
より,より小さな値の適用を考慮する必要もある.
  LVDd =左室拡張末期径,LVDs=左室収縮末期径.
表26 全年代を通じての平均値 文献208 より改変
表27 日本人における参考とすべきおよその正常値 文献208より改変
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Ⅱ 大動脈弁疾患 > 1 大動脈弁疾患における術前診断と評価 > 2 大動脈弁閉鎖不全症(AR)