弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2012年改訂版)
Guidelines for Surgical and Interventional Treatment of Valvular Haert Disease( JCS 2012)
1 心エコー法
  ・左室内径短縮率(FS)<27%
  ・左室収縮末期径(LVDs)>50~55mm
           または25~27mm/m2
  ・左室拡張末期径(LVDd)>70~75mm
           または35~38mm/m2
  ・左室拡張期半径/壁厚(R/Th)>3.8
 または収縮期血圧X拡張期半径/壁厚
           (SBP×R/Th)>600
2 心カテーテル・アンギオ法
  ・心係数<2.2L/min/m2
  ・肺毛細管契入圧>12 mmHg
  ・左室駆出率<50%
  ・左室収縮末期容積指数>90~200 mL/m2
  ・左室拡張末期容積指数>200~300 mL/m2
3 その他
  ・NYHA心機能分類 Ⅲ~Ⅳ度
  ・運動耐容能低下
  ・左室肥大(心電図)
  ・EF RI アンギオ<45%
  ・女性
3 手術成績と予後
 大動脈弁置換の在院死亡率は欧米の報告では3 ~ 5%とされているが,我が国と異なり,冠動脈疾患の合併が多いのが特徴である.我が国では日本胸部外科学会の調査報告で,2009年の大動脈弁単独置換は7,418例で,在院死亡率は3.5%(262例)であった36).遠隔生存率は術後5年で70~80%,術後10年で60%程度とされている報告が多いが,虚血性心疾患の合併の少ない我が国では術後10年で90%前後との報告も少なくない290),291).遠隔死亡の主な原因は心不全,突然死,心筋梗塞および代用弁関連の合併症などであり,表33のごとく遠隔死亡の術前予測因子(predictor)が報告されている201),292).大動脈弁形成術の遠隔成績については,一部の施設からの報告が散見されるが,未だ限定されたものである283),293).ACC/AHAガイドラインでは,その再手術率は術後10年で15%程度とされている229)
表33 遠隔死亡と関連のある術前予測因子(predictor)
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Ⅱ 大動脈弁疾患 > 5 大動脈弁閉鎖不全症に対する手術適応,術式とその選択 > 3 手術成績と予後