弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2012年改訂版)
Guidelines for Surgical and Interventional Treatment of Valvular Haert Disease( JCS 2012)
5 僧帽弁狭窄症(MS)兼三尖弁閉鎖不全症(TR)
①病態生理

 本病態では肺高血圧のいくつかの要素が存在し,MSが治療され肺血圧が低下した場合,TRが改善するかどうかが問題となる.中等度以上のMSとTRが共存する
場合は,MSによる肺高血圧症がTRを増悪させていることが多い.この場合,MSが修復され肺動脈圧が低下すると,多くの場合TRは改善する.一般的に肺高血圧
が高度で右心室の拡大があり,三尖弁の解剖学的構築が変形していない場合には,MSの治療後にTRの改善が期待できる.一方,三尖弁に高度のリウマチ性変形や腱索断裂がある場合は,MSの治療後にも三尖弁機能は回復しない.しかし,MSの修復後にTRが改善するか否かを確実に予測するのは困難である320)-322)

②診断

 断層心エコー法によって僧帽弁と三尖弁の両方の解剖学的構築を評価し,ドプラ心エコー法により肺動脈圧を推定する.三尖弁の解剖学的構築が変形しておらず肺高血圧が高度である場合は,MSの治療後にTRの改善が期待できる.
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