弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2012年改訂版)
Guidelines for Surgical and Interventional Treatment of Valvular Haert Disease( JCS 2012)
1 外科治療の適応
急性MRでは,末梢血管拡張薬,カテコラミンの投与によって血行動態の改善が得られない場合,緊急手術の適応となる.IABPの使用は多くの場合手術を前提とし
た循環動態の維持に用いられることが多い.慢性MRの手術時期の決定には経時的な臨床症状の聴取と経胸壁心エコー検査が必要である.6 ~ 12か月おきの病歴聴取,理学的検査,心エコー法などによって無症候性左室機能不全が進行し始めるのを速やかに検出し手術を施行することが必要である
46)
.
MRによる後負荷の低下によって見かけ上駆出が亢進しているように評価されるため,心機能の標準的な指標である左室駆出率(LVEF)は他の弁膜症の場合に比べて信頼性が低いとされている.しかしながら,僧帽弁手術後の予後を予測する因子として術前のLVEFが重要であることが報告されている47)-50).術前のLVEFが60%未満の症例ではそれ以上に比較して術後の生存率が悪く,左室機能低下が進行し始めていると考えられる
48)
.
経胸壁心エコー法による左室収縮末期径(LVDs),または容量は後負荷による影響がLVEF より少なく,左室機能が低下し始める時期を知るうえで有用である
51)
.LVDs が40mm以上( 収縮末期容積指数(LVESVI):50mL/m2)の場合は手術後の左室機能が正常に復帰しない可能性があり,これを手術時期の決定に用いることが有用である
51)-54)
.
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