弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2012年改訂版)
Guidelines for Surgical and Interventional Treatment of Valvular Haert Disease( JCS 2012)
1 人工弁の分類
①機械弁

1)ボール弁・ディスク弁
 ケージの中にボールあるいはディスクを入れた弁で,Starr-Edwardsボール弁453),Starr-Edwardsディスク弁454)が数多く使用された.現在装着している患者はほとんどいないと推定されるが術後30~ 40年の再弁置換術の我が国での報告が最近散見されている.

2)傾斜ディスク弁
 円形ディスクがハウジングの中でオクルーダーとして傾斜しながら開閉する弁で,大小2つの弁口を持つ.代表格のBjörk-Shiley弁を移植された患者は多く生存して
いる.その他の傾斜ディスク弁としては第二世代以降のMedtronic-Hall弁などがあった.

3)二葉弁
 2個の半円形の弁葉が蝶番機序でハウジングと結合し,開口時には中心と辺縁2つの計3つの弁口を持つ弁で,血行動態に優れた弁として,現在の機械弁の主流と
なっている.代表格のSt. Jude Medical 弁は世界的に190万個以上を使用されており,安定した成績を挙げている.サイズは大動脈弁(A弁)で17mmから31mmまで,僧帽弁(M弁)で17mmから33mmまである455),456).その他現在我が国で使用可能な弁に,CarboMedics弁(A弁:16 ~ 29mm,M弁:16 ~ 33mm)457),458),Sorin Bicarbon弁(A弁:17~ 29mm,M弁:19~ 33mm)459),ATS弁(A弁:16~ 31mm,M弁:19~ 33mm)460),On-X弁(A弁:19~ 29mm, M弁:23~ 33mm) がある461). 以前はEdwards MIRA弁,Jyros 弁, Medtronic Advantage弁が我が国で使用可能であったが,現在は使用されていない.

②生体弁

 生体弁には,自己弁,同種弁,異種生体弁があるが,詳しくは「生体弁の適応と選択」の項を参照願いたい.
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